茶色い人's ダイヤリーア

薬学生の現実逃避日記です。

A Boy Called Pig 和訳 Part2

Part2

 

    ブタが8歳を迎えた頃、一家を揺るがす出来事が起こった。長男が結婚し、妻の元へ引っ越すというのである。家族達はみな、それを悲しんだ。それは、彼が本当に素晴らしい人間だったから、というわけではなく(実際彼は素晴らしい人間ではなかった)、彼が一家で最も優秀な働き手だったからである。残された兄弟達は、以前より仕事に勤しむことを余儀無くされたのだ。

 

    負の連鎖がそこから始まった。長男が去ってから間も無くして、長女も家を去った。大学に通うためだと彼女は言ったが、本当のところをいうと彼女はもう、牧場で働きたくなかったというだけなのだ。次男がすぐにそれに続いた。牧場に残されたのは、たった2人の子供になってしまった。言うまでもなく、ブタはそこにカウントされていないのだが(彼が1度としてカウントされたことがあっただろうか?)。

 

    両親はとうとう、真剣に家計を心配し始めた。歳をとり、かつてのように働けなくなってしまった彼らは、子供達、すなわち若い労働力に頼るしかなくなっていたのだ。次女が隣町の裕福な男と結婚すると言って去った時、ついに家族会議を開くことを決意した。言うまでもなく、ブタはそこへ招待されていないのだが(彼が1度として招待されたことがあっただろうか?)

 

「たった3人で、一体どうやって生計をたてようか?」

「もっと、懸命に働くしかないのかしら…」

夫と妻は、チキンレッグにしゃぶりつきながら口々に嘆いた。

「いや、あるいはその必要はないかもしれないよ」

彼こそが、残された1人の息子である。彼は痩せ型で、シャープな鼻を持ち、そして更にシャープな目をしていた。

「どういうことだ?」

父は息子に尋ねた。

「あのブタを、利用するんだよ」

息子は母、父を順番に見つめ、それから視線をチキンレッグに戻しつつ言った。

「ブタって、まさか豚達と暮らしている、あの動物のことを言っているのか?」

「その通り。」

「でも、あのブタは話すことはおろか、私達の言葉も理解できないのよ。どうやってアレを牧場で働かせるというの?」

「違う違う、そうじゃないったら。もっと、頭を使わなきゃ」

頭の横を、チキンの油でギトギトになった指でとんとん、と突きながら彼は言った。訳がわからない、という表情をした2人には構わず、彼は続けた。

「ブタの得意なことはなんだと思う?人間でありながら、まるで豚のように食べることだ。でもそれだけじゃない。あいつは何だって食べるんだよ。この前なんて、僕が投げ入れたでっかい骨を、丸ごと食い尽くしちゃったんだ」

「骨丸ごとですって?」

「そう。他に何が食べられるか、試してみる価値がありそうだよ」

 

(Part3へ続く)